本書「たった一人の分析から事業は成長する 実践 顧客起点マーケティング」は、元P&G出身で元スマートニュース執行役員の西口一希氏によって書かれた、マーケティング戦略の実践書です。
西口氏は、本の内容を用いて、スマートニュースをアプリランキング100位圏外からNo.1へと導いた実績を持ち、その具体的手法と哲学が詳細に解説されています。
本書の核心は「N=1分析」と呼ばれる、たった一人の顧客を徹底的に理解することから事業成長のヒントを得るというアプローチにあります。
この記事は、本書の要約を紹介します。この記事を読めばアイデア出しが得意になります。
この記事を書いている人

- Audible利用歴5年
- SEO検定1級合格
- 東証スタンダード会社員










要約「たった1人の分析から事業は成長する」から学ぶビジネス成長の本質
AIによりマーケティング環境が高度に複雑化した現代において、真の顧客理解は逆に難しくなっています。

西口一希氏の著書『実践 顧客起点マーケティング』は、テクニックやツールが飽和した時代だからこそ、「たった一人の顧客(N=1)」を徹底的に理解することから事業成長が始まると提唱しています。
顧客起点マーケティングの本質は、数値だけでなく「人」に焦点を当てることにあります。
西口氏はP&G出身で、ロート製薬では「肌ラボ」を本数ベースで日本No.1に成長させた実績を持っています。
「なぜ、顧客が動いたのか?その行動変化の理由である心理変化に触れないままでは、大規模なマーケティング投資でスケールさせることができません」と西口氏は指摘します。
顧客を把握しないマーケティングは、いづれ枯渇する危険性がある、ということです。

AIの進歩により、マーケティングの分析ツールは急速に進化しています。
しかし頼りすぎると、逆に顧客とのつながりを失う危険があります。
顧客の本当のニーズや感情に寄り添うことが最も大切です。テクノロジーは手段であり、目的ではないことを忘れてはいけません。
顧客を5段階に分類する「顧客ピラミッド」【内容】
顧客起点マーケティングを始めるには、まず「顧客ピラミッド」を作ることが大切です。
これは顧客を5つのグループに分け、それぞれの特徴を理解する方法です。
具体的には、商品やサービスの購入頻度や認知度に基づいて顧客を分類します。この方法により「どの顧客グループにどれくらいの人数がいるのか、どんな特徴を持っている層に力を入れるべきか?」を明確に把握できます。

顧客ピラミッドは次の5つの層から構成されます。
- 未認知層:商品やサービスをまだ知らない人々
- 認知層:知っているが利用していない人々
- 離反層:過去に利用したが現在は利用していない人々
- 一般層:定期的に利用している人々
- ロイヤル層:頻繁に利用し、愛着を持っている人々
この分類は、以下の3つの簡単な質問で調査できます。
- この商品/サービスを知っていますか?
- この商品/サービスを利用したことがありますか?
- どのくらいの頻度で利用していますか?
購買頻度の基準は、商品やサービスによって異なります。
- 「毎日使用者」をロイヤル顧客
- 「毎日使用者を除く毎月使用者」を一般顧客
- それ以下の頻度を離反顧客と定義
顧客ピラミッドを作成することで、マーケティング戦略を明確にできます。
- 認知層が少なければ、認知拡大に力を入れる
- 離反層が多ければ、顧客の再獲得に注力する
たった一人を徹底分析する「N1分析」【アイデア出し】
顧客ピラミッドを構築したら「N1分析」をして「売上改善アイデア」を考えます。
N1分析とは、各顧客層から代表的な「たった一人の顧客」を選び、その人物を徹底的に理解する分析方法です。

大量の統計データではなく、一人の具体的な顧客に深く焦点を当てることで、数字だけでは見えてこない貴重な気づきを得られます。
この分析手法の特徴は、顧一人の顧客の行動、思考、ニーズを詳細に調べることで、ビジネス全体の改善につながる深い洞察を得られます。
「たった1人の分析から、事業は成長する」というタイトルは、まさにこのアプローチを表現しています。
大量のデータよりも、一人の顧客を徹底的に理解することの重要性を示唆しています。

特に注目すべきは「離反層」と「ロイヤル層」です。
離反層は、過去、商品・サービスに不満があった可能性が高く、N1分析で改善すべき課題見つかりますす。一方、ロイヤル層は購入頻度を増やせる可能性が高いです。
N1分析では以下のような側面を徹底的に掘り下げます。
- 基本的な属性情報(年齢、性別、職業など)
- 利用シーンや利用頻度、利用目的
- 商品・サービスに対する感情や評価
- 競合製品との比較における評価
- 理想的な商品・サービス像
N1分析の最大の強みは「生きた顧客」「生きたペルソナ」をイメージしながら戦略を立案できることです。
抽象的な顧客像ではなく、名前や顔を持つ具体的な人物を念頭に置くことで、より実効性の高い施策が生まれやすくなります。
実践例:肌研極潤の成功ストーリー
2006年、基礎化粧品市場は競争が激しく、多くの商品が売れない状況でした。
当時は、肌に必ずしも優しくない「アルコール入り商品」が人気でした。
川口さんが販売していた肌研極潤は、最初はまったく売れませんでした。その理由は、肌にベタつきを感じさせていたからです。
当時の市場では、ベタベタする化粧水は敬遠されていました。
川口さんは、N1分析を実施。顧客へのインタビュー調査を行いました。そこで、ある顧客が衝撃的な発言をしました。
「頬にくっつくくらいべたべたするわね!これが保湿されている証拠よ!」
この一言から、画期的なキャッチコピーが生まれました。
「手にほほがくっついてはなれなくなるほどもちもち肌になる化粧水」
結果として、肌研極潤は化粧品業界でNo.1の商品となり、新たな価値を創造しました。これが、N1分析がもたらす力です。
顧客体験を可視化する「9セグマップ」【注力すべき顧客を見つける】
N1分析で得られた洞察を整理し、アクションにつなげるためのフレームワークが「9セグマップ」です。

9セグマップとは、顧客を「購買頻度」と「ブランド選好」という2つの軸で9つのグループに分類し、それぞれの特性に合わせたマーケティング戦略を立てるためのフレームワークです。

これにより計9つのセグメントが形成され、顧客体験の全体像を俯瞰することができます。

画像右上のセグメントに近づくほど優良顧客となり、基本的には顧客を右上のセグメントに移行させられるような施策を考える必要があります。
9セグマップの活用によって、顧客体験の弱点や強みを体系的に把握でき、限られたリソースをどこに投入すべきかの判断が容易になります。特に、複数の顧客層の9セグマップを比較することで、各層に共通する課題や層ごとに異なる特性を明確にできます。
理解を深めるため「9セグマップ」の概念について、Aさんと先生の対話形式で説明します。
先生:「今日は9セグマップというマーケティングフレームワークについて説明しますね。これは顧客を分析して、より効果的な戦略を立てるのに役立つツールです。」
Aさん:「何が良いんでしょうか?」
先生:「このマップを使うと、どの顧客グループに力を入れるべきかがわかります。例えば、『売上が毎月減っているラーメン屋』の場合、一度来たけど来なくなった人たちの中で、また来たいと思っている人にクーポンを出せば効果的かもしれません。」
Aさん:「なるほど!確かに、一度来たけど遠くて来られない人に割引券を出せば、また来てくれるかもしれませんね。」
先生:「そのとおりです。また、常連客でも『次も来たい』と思っていない人たちに特別サービスを提供して、より好きになってもらう戦略も考えられます。9セグマップを使えば、こういった戦略を立てやすくなるんです。」
先生:「それではもっと具体的な例で考えてみましょう。あなたが経営するカフェを想像してください。」
Aさん:「はい、想像してみます。」
先生:「このカフェの顧客を9セグマップで分類してみましょう。右上のセルにいるのは、頻繁に来店し、次回も必ず来たいと思っている理想的な顧客です。一方、左下のセルには、カフェを知っているけど来たことがなく、来る意向もない人がいます。」
Aさん:「右上の顧客が一番良いお客さんなんですね!」
先生:「そうです!理想は顧客を右上に移動させることです。例えば、たまにしか来ないけど好意的なお客さんには、ポイントカードを提供して来店頻度を高めることが考えられます。」
Aさん:「なるほど!逆に、常連だけど好きじゃないお客さんには、特別なサービスで好感度を上げる作戦ですね。」
先生:「その通りです!この9セグマップはBtoCビジネスだけでなく、BtoBビジネスでも活用できます。例えば、法人顧客を同じように分類して、各グループに合わせた営業戦略を立てることができます。」
Aさん:「すごいですね!思ったより使いやすそうです。」
- まず、N1分析で顧客の心理を詳細に調べます。
- その分析結果を9セグマップに落とし込みます。
- これにより、次々と新しいアイデアを生み出すことができます。
西口氏は、9セグマップの最大の価値は「顧客体験の全体最適化」にあると強調しています。
部分的な改善ではなく、顧客ジャーニー全体を見渡した上で、戦略的に改善ポイントを決定することで、より大きな成果につながります。
顧客起点マーケティングの成功事例
西口氏が開発した「9セグマップ」手法は、スマートニュースの劇的な成長を生み出した戦略的アプローチの好例です。

当時、スマートニュースはアプリランキングで100位圏外に低迷していました。しかし、西口氏は顧客ピラミッドの分析とN1分析を通じて、顧客の本質的なニーズを徹底的に理解することに成功しました。具体的には、「情報収集の効率化」という顧客の根本的な要望を再発見し、以下の改善を実施しました。
- ユーザーインターフェース(UI)の抜本的な改善
- パーソナライゼーション機能の強化
- コアバリューを明確に伝えるコミュニケーション戦略
これらの取り組みにより、わずか1年でiPhoneアプリランキングNo.1を達成するという驚異的な成果を生み出しました。
数字では見えない需要・ニーズを発見【実体験】
私はWeb広告代理店で働くコンサルタントです。
ある海外ドラマの宣伝キャンペーンを任された時の苦闘を今でも鮮明に覚えています。
私が担当する前年は、CPAが1,000円で推移していたのに、私が担当になってから2,000円を下回らない状況が続いていました。
クライアントから「これでは採算が合わない」「改善策をすぐに出してほしい」と毎回の商談で詰められる日々が続いていました。
当時は「キーワードの追加」「入札単価の調整」「広告文のABテスト」といった表面的な改善策ばかりを試していました。
しかし効果は一時的で、根本的な解決に至らない。
深夜までオフィスに残ってデータを見つめながら、自分の中に湧き上がる無力感を抑えるのに必死だったのを覚えています。

改善アイデアを見つけようと読んだ本が本書。提唱されていた「N1分析」の手法に衝撃を受け、早速実践。
従来のメインターゲットとしていた40代女性の中から、特に熱心にドラマを視聴している1人に徹底的にインタビューを実施しました。
「なぜこのドラマがお好きですか?」
質問への答えは予想外のものでした。
「実は主人公より脇役の女性の服装が可愛くて。毎回彼女のコーディネートをチェックするのが楽しみなんです」。
この発言が突破口になりました。
それまで主人公中心だったLP(ランディングページ)を脇役キャラクター特集に変更し、「◯◯(脇役名)スタイル」「ドラマ衣装完全再現」といったキーワードを追加。
広告文にも具体的な脇役の名前を入れることで、クリック率が3倍に跳ね上がったのです。
結果としてCPAは700円まで抑制でき、過去最高の成果を記録。クライアントとの関係性が「納品する側」から「共に成長するパートナー」へと変化しました。
先月の打ち合わせでは「次期キャンペーンの企画段階から一緒に考えたい」と言っていただけた時は、嬉しかったのを覚えています。

この経験から学んだのは「人間理解」の重要性です。
現在では、新規顧客獲得が頭打ちになったクライアントには、N1分析を提案するようにしています。
先日も化粧品のECサイト運営者から「広告費がかかりすぎる」と相談を受けた際、熱心なユーザーへのインタビューから「友人との共有用に少量パックを求めている」という隠れたニーズを発見。
商品ラインアップの見直しにつなげた事例があります。
数字に振り回されていたあの頃の自分に伝えたいのは、「一度椅子から立ち上がれ」というメッセージです。
画面に映るCTR(クリック率)やCVR(コンバージョン率)の数字はあくまで結果。その背景にある人間のドラマにこそ、本当の解決策が眠っているのです。
AIに負けないマーケティングスキル【まとめ】
顧客起点マーケティングは、単なるマーケティング手法の一つではなく、ビジネスの本質「顧客理解」に立ち返るアプローチです。
テクニックやツールが飽和した現代だからこそ、「人間理解」という原点に回帰する重要性が高まっています。

マーケティングの本質は、「人の心を動かすこと」です。
AIにはできない人間の仕事です。
技術や手法は変化しても、この根本的な目的は変わりません。「たった一人の顧客」を深く理解することから、新しいビジネスの成長ストーリーが始まるのです。

【4/15まで】2か月99円+アマギフ700円
3,000円分が99円でお試しできるキャンペーン中!今ならさらに、最大700円分のAmazonギフトカードプレゼント中!

980円分が無料。お試しキャンペーン
本が読み放題!通勤時間が価値ある時間に変わります。